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*「医報フジNo.127 Jun.2004」より、藤沢薬品、執筆者の承諾を得て掲載しています
Q&Aコーナー
Q1.食物アレルギーの患者の頻度は増加傾向にありますか?年齢別ではどうですか?
Q2.食物アレルギーはなぜ起こるのですか?
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Q1.食物アレルギーの患者の頻度は増加傾向にありますか?年齢別ではどうですか?
ANS.具体的な食物アレルギーに関する疫学データで、以前と比べ最近がどうなのかは不明です。食物アレルギーが社会的に取り上げられる頻度も以前に比べ増加しており、保育園・幼稚園・小学校における給食で問題となることも多くなっていることを考えると、頻度は増加していると考えられます。
解説
食物アレルギーの頻度について人口をベースにした疫学的なデータは非常に少なく、調査方法により著しい解離が認められるのが現状です。わが国においては病院での症例をまとめたデータの報告がほとんどであり、人口を分母とした調査は厚生労働科学研究において、著者らが相模原市で乳児期を対象とした調査を行っています。現在データを解析中で、近いうちに結果を公表する予定です。
疫学調査で信頼性のあるデータは平成13年と14年に厚生労働省の研究班「食物アレルギーの実態および誘発物質の解明に関する研究」で、全国2000名超の医師による食物アレルギーのモニタリング調査です。“食物摂取後1時間以内に症状が出現し医療機関を受診し診療を受けた症例”の報告を3ヶ月ごとにモニターしました。その結果2年間に3840例の症例報告があり、小児から成人までに幅広く認められました。食物アレルギーの原因物質のトップ3は鶏卵・牛乳および乳製品・小麦で、全体の原因の60%を占めていました。また、0歳児・1歳児で全体の症例の50%を占めていました。
年齢別では、乳児期に圧倒的に多く認められるのが特徴的です。乳児期の食物アレルギーは、ほとんどのケースでアトピー性皮膚炎を伴っています。当科小児科外来通院中の食物アレルギー患者を年齢別にまとめたものを図に示します。0歳と1歳にピークがあり、その後3歳以降に劇的に患者数の減少が認められ、食物アレルギーのアウトグローを反映しているものを思われます。しかし、卵アレルギー・牛乳アレルギーの重症例で学童までにキャリアオーバーする例や、ソバ・ナッツ類・果物・甲殻類アレルギーで幼児・学童以降に新たに発症する例も少なからず認められます。

図 当科における食物アレルギー患者の分布(男女別・年齢別)
(海老澤元宏)
Q2.食物アレルギーはなぜ起こるのですか?
ANS. 食物アレルギーがなぜ起こるのかということへの答えは、まだ部分的にしか理解されていないのが現状です。発症機序、アレルゲンの特徴、生体側への反応性に関して解説します。
解説
食物 アレルギーの発症機序として最も理解されているメカニズムはIgE依存性の反応です。図に示すように抗原提示組胞とTh2細胞により抗原認識され感作が成立した後、抗原特異的IgE抗体が作られます。食物抗原が生体内に入ってきた後、IgE抗体 2 分子が架僑され、マスト細胞の活性化が引き起こされます。即時型反応においてはヒスタミン・ロイコトリエンが遊離され、遅発型反応においてはサイトカインが産生され、それぞれの症状が引き起こされてくると考えられています。
乳児期早期の母乳栄養児において、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎を伴って発症してくるメカニズムとしては、母乳中に分泌される食物抗原の量が非常に微量であることにより、即時型反応を呈さずに遅発型反応が起きてくる可能性もあるのではないかと考えています。食物アレルギーにおいては、IgE抗体が血液中に証明されても症状が出現しない場合もあり、診断が難しくなる要因のーつとなっています。そのことはクルードな抗原を用いることにより、交差抗原性(蛋白の類似性のある構造で反応してしまう現象)によって血液中にIgE抗体が検出されたり、消化・吸収のプロセスとアウトグローという食物アレルギーに独特な現象が存在することが、原因であると考えられています。
通常の食物アレルギーにおいて食物抗原が生体内に入ってくるメカニズムは、口、食道、胃、十二指腸を経て小腸から吸収され、血行性に反応の場(皮膚、上気道、下気道など)に到達するものと考えています。この場合、即時型症状の多くは通常1時間以内に出現すると考えられています。通常このプロセスで吸収され症状が惹起される食物抗原の特微として、胃酸に安定で、ペプンンによって消化を受けにくい蛋白構造であるのが条件です。口腔粘膜からの吸収というプロセスも存在し、口腔アレルギー症候群と総称されています。この場合の原因抗原は果物、野菜などですが、通常のアレルゲンでも起こりうる反応です。口腔粘膜での接触性の蕁麻疹で起こると考えられていますが、果物でも全身性反応に至る場合もあります。食物アレルギーのメカニズムの解折は、これから解朋すべきことが山積している状態であるといえます。

図 アレルギー反応のメカニズム
(海老澤元宏)
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